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不便・不安・不満をシェアして、認知度を上げる?

◆飛行機での子連れ旅行、親の6割超が「不安を感じた」

オンライン旅行エージェントのエアトリは7月3日、「子連れ旅行」に関する調査結果を発表した。調査対象となった20代~70代の男女748人のうち、子どもがいる人に「旅行をためらった経験があるか 」を聞くと、約半数の47.1%が「ある」と回答。また、「子連れのため、旅行中に不快な思いをしたことがある」と答えた人は、23.5%だった。

さらに、子連れ旅行をためらった経験を持つ人に対し、「どのようなシーンで不安を感じたか」を質問した。1位は「飛行機移動」(65.3%)で、2位の「電車移動」(28.2%)、3位の「現地レストラン」(23.5%)を大きく引き離した。飛行機は密室空間に加え、乗り降りの手続きが電車に比べて楽ではない。一度乗ると簡単には降りられず、その場でどうにかしければならないため、親が感じるプレッシャーは強い。

(中略)

◆知られていないサービス、1位は?

このように身構えてしまいがちな飛行機移動だが、実は航空会社は子連れ客のフライトをサポートするさまざまなサービスを提供している。しかし、それらはあまり知られていないケースが多い。

エアトリが調べたところ、最も知られていないサービスは「授乳カーテンがついた座席の用意」(79.3%)だった。授乳ケープは役に立つが、知らない人と比較的密着した機内の授乳には抵抗がある。カーテンがあれば即席の個室をつくりだせるので、乳幼児を連れた女性にとってはプライバシーが守られるので嬉しい。

(中略)

今年の夏に旅行や帰省で飛行機に乗る予定の方は、便利なサービスを使って楽しいフライトを過ごしてはどうだろうか。

ライブドアニュース 2019/ 7/7
「夏休み目前!子連れでの飛行機移動をサポートする
“意外と知られていない”サービス」

飛行機を利用する上で、親の6割超が子連れ旅行に「連れて行くのが不安」という実態がエアトリのアンケート結果で明らかになった。各航空会社は子連れ客向けの多様なサービスを用意しているが、十分には浸透していないものもある。そこでエアトリは今回のアンケート結果とともに、同時にそれらの不安を払しょくするサービスとアドバイスをリリースしたそうだ。

今年のお盆休みは最大9連休が予測されている。エアトリのリリースには、この長期休暇に飛行機の利用を促す狙いがあるのだろう。今回のリリースは「知られていないサービス」の認知させることで、旅行の移動手段として飛行機を選択する際の心理的ハードルを下げていると考えられる。

引用した1位のサービスの他にも、「座席指定時の幼児マーク表示」、「チャイルドシート持ち込みの受け入れ」など複数のサービスが70%以上の数値で「知られていないサービス」にランクインしている。

このリリースからは、これらのサービスが的確に顧客の不便・不安・不満の事実を把握したうえで、それを解消する手段として設計、提供されていることがわかる。それだけに、サービスが知られていなかったというアンケート結果は残念だ。

日本のあらゆる産業は、機能の良さ、品質の良さを磨き上げ、優れたものを作り上げてきたが、「機能的価値」があふれてきて差がなくなっている。「機能的価値」だけを追求すると価格競争に陥ってしまう。とすると、情緒的価値を訴求するか、あるいは主要な機能に付帯するその他の部分、たとえばサービスで差別化を図るほかない。しかし、それだけでは十分ではない。新たな価値やサービスを作るだけではなく、告知する努力を怠ってはならないことを、エアトリのリリースは示唆している。

こう考えて来ると、このリリースの構成は実に良く練られており、気が利いていると思われてくる。単純に「うちにはこんなサービスがある」と主張するだけではなく、アンケート結果も示すことで、それらのサービスが顧客のニーズに合致していることを鮮やかに示している。

 

はやま 紺(はやま こん)執筆
一般財団法人ブランド・マネージャー認定協会 1級資格取得者 
紺デザイン ブランド・クリエイター
シンプルな思考で発想を転換、価値を伝えられないとあきらめていた起業家に価値の発掘、言語化、ビジュアル化を展開し課題解決をサポートしています。「世界観を形につながりたい人とつながるブランディング」を支援中。

http://kon-design.com/

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