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ブランドタウン「田園調布」はいま

東京を代表する高級住宅地といえば田園調布をおいて他にはないだろう。渋沢栄一らによって開発が始まり、政治家や財界人、プロスポーツ選手などが邸宅を構えた地だ。この場所でいま、売りに出される物件が増えているという。田園調布に何が起きているのか。取材を進めると2つの異変が目に付いた。

(中略)

豪邸と呼ぶにふさわしい建物を見ながら歩くと、1つ目の異変が目に飛び込んできた。「売却物件」「分譲地」といった看板が立つ更地の多さだ。都内の不動産関係者によると、「以前は売り物件であっても、あからさまにわかる看板は立てずにひっそり売っていたが、2018年ごろから看板が目立ち始めた」という

NIKKEI STYLE 2019/6/7
田園調布に売り看板が立つ 進む高齢化、成約価格急落

「田園調布に家が建つ」とは今から40年前に一世を風靡した星セント・ルイスのギャグだが、平成生まれの方にとっては意味不明だろう。

かつては日本における高級住宅街の代名詞だった田園調布ブランドに陰りが見えはじめている。確かに平成も半ばを過ぎた頃から、“東京の高級住宅街”と言えばむしろ近隣の「自由が丘」の方がクローズアップされていたし、実際「田園調布」という言葉にはすでに昭和ノスタルジックなニュアンスを多分に含んでいる。

最大の原因は「3階建て以上のマンションを建てられない」、「小さく区切って売買できない」といった、高級住宅街ならではの規制だ。核家族化が進み都心住まいの床面積が縮小化が進む中で田園調布の“サイズ感”が手に余るということだろう。

急速に風化が進む昭和からまた一つ、ブランドが消えようとしている。

 

BRANDINGLAB編集部 執筆
株式会社イズアソシエイツ

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