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【ブランディング事例】世界観の徹底で、ポップコーンに「情緒的価値」を付加させたポップコーンパパ【後編】

前回のコラムではポップコーン専門店「ポップコーンパパ」を経営する株式会社Dreams(大阪府)が、どのようにしてブランド・アイデンティティを確立していったかを紹介しました。
今回は、ブランド・アイデンティティをもとにどのように消費者に対し訴求していったか、またその効果について紹介いたします。

消費者とブランドとの出会いを決める

ブランド・アイデンティティが確立したら、今度はそれをどのようにして消費者に伝えていくかを考えます。来店や購入、実際に食べて感じた印象など、ブランドと関わるあらゆる接点でブランド・アイデンティティを表現し、それを体験(ブランド体験)してもらい、価値を感じてもらうことが大切です。そのためにはまず、さまざまなブランド要素をブランド・アイデンティティをもとに決めていきます。

ブランド要素とは名称、ロゴマーク、キャッチコピー、キャラクター、色など、ブランドを構成する最小単位のことです。

ポップコーンパパでは、「直接的イメージ」と「他店との差別化のためのイメージ」をもとに、ブランド要素を設計していきました。

直接的イメージ

  • ポップ
  • カラフル
  • キュート
  • 子ども
  • アメリカン
  • 本場

他店との差別化のためのイメージ

  • ワクワクする体験ができる
  • こだわり製法である
  • 32種類のフレーバーを選ぶ楽しさがある
  • フレンドリー
  • 細部にまでこだわった一貫性のある世界観(テーマ)
  • 人に紹介しやすい
  • 知らない味で未知への冒険気分

【ロゴ】

アメリカンカラーの赤と青に統一し、アメリカの国旗に使用されている☆を組み合わるとともに、白フチを加えてポップコーンのモコモコ感を表現しました。

(出典:http://popcorn-papa.com/

【キャラクターファミリー】

店名の「ポップコーンパパ」を一目で連想させるキャラクターとしてパパキャラを制作。ポップコーンを擬人化させ、店舗スタッフが被っていたカウボーイハットを小物に使用しました。身体部分はポップコーンを入れる紙コップを用い、アメリカンカラーで表現しました。その後、パパをベースにママと子どもを制作し、ファミリーを展開しました。

(出典:http://popcorn-papa.com/

 
ポップコーンパパでは、他にもパンフレットやオフィシャルサイト、店舗の内装、外装まで、ポップコーンパパの世界観を感じさせるようにイメージを統一させたのです。

従業員の行動におけるガイドラインを作成

ブランド要素やブランド体験について決定したら、次は従業員全員がブランドの価値観、思想、ミッションを共有することが重要です。そこで、実際の営業や運営に反映できるように、ガイドラインとなる推奨規定と禁止規定を設定します。

推奨規定とは、このブランドを扱う際にどのような行動を取るべきなのかを言語化したものです。また、禁止規定とは、このブランドを扱う際にしてはならないことを言語化したものです。

ブランド・アイデンティティと連動したいくつかのキーワードそれぞれに「ヒト」「コト」「ワザ」「モノ」の観点から、絶対にやるもの、絶対にやってはいけないことを明確にします。

ポップコーンパパでは、推奨規定・禁止規定を策定後、これをベースにクレドとして冊子にまとめました。

(出典:同文館出版 「社員をホンキにさせるブランド構築法」)

働く人の意識が変わり、世界観が伝わった

ポップコーンパパでは、チームブランディング導入後、お客様からの声に変化が現れました。これまでは「おいしかった」「また食べたい」など、商品に関する感想がほとんどでした。それが導入後は、接客に対してのコメントや「いつもありがとうパパ」といった、キャラクターへのコメントに変わり、イラストをもらうようにもなりました。つまり、お客様の目線が商品から、ポップコーンパパ全体の世界観へと変化したのです。これは、チームブランディングによって、従業員一人ひとりの意識が変わり、日頃の行動に自然に反映させることができた結果といえます。

チームブランディングによって、何のために働くかという使命感、つまりミッションを明確にすることでき、さらに全員がブレずに同じ方向を向いて仕事に取組みことができたことが、ポップコーンパパのチームブランディング成功の秘訣なのです。

(出典:同文館出版 「社員をホンキにさせるブランド構築法」)

社長の宮平氏はこう語ります。
「僕が本当に欲しかったのは、スタッフが皆、心から喜んでポップコーンパパで誇りをもって働いてくれること。チームブランディングのおかげで、その自覚が一人ひとりに芽生えたと実感します」

いかがでしたでしょうか?もしあなたが自社のスタッフの士気に問題を感じているなら、一度チームブランディングの導入を検討するのもいいかもしれません。

Categories: Case Study
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