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【モノづくりブランド認定制度まとめ】地方企業が活用すべき協会・アワード・成功事例



地方ものづくりブランドと「認定」が生み出す信頼

ものづくり企業にとって、認定制度やデザインアワードは単なる評価にとどまらず、自社の技術力や品質を客観的に証明する大切な要素となります。とくに地方の企業では、優れた技術があっても、その価値が十分に伝わらないまま埋もれてしまうケースが少なくありません。産地ブランド認証や公的機関の評価、国際的なデザイン賞の受賞は、そうした企業の実力を可視化し、「なぜこの製品が選ばれるべきか」を明確に示してくれます。

認定や受賞は、製品だけでなく企業活動全体にプラスの影響をもたらします。営業資料やパッケージにロゴを掲出することで、初回商談でも強い説得力が生まれます。展示会では競合との差別化につながり、来場者に「品質が担保された製品」という印象を与えます。また、採用活動においても「技術力を大切にする企業」という信頼感が生まれ、応募者の志望理由形成にも寄与します。

さらに、国際的なデザイン賞の場合は、造形や機能性だけでなく、社会性や革新性まで審査されるため、海外バイヤーに対して強いアピール材料となります。受賞をきっかけに新規取引や海外展開が進む事例も多く、ブランド価値の向上に直結します。

重要なのは、認定や受賞を“点”ではなく“戦略”として活用することです。製品の背景にある技術や産地の物語と組み合わせて発信することで、企業の強みがより一貫性を持って伝わります。地方発のものづくり企業こそ、認定制度やアワードを活用することで、知名度の壁を越え、確かな信頼と選ばれる理由を築くことができます。

地方・国内・海外のものづくり認定制度 5選

メイド・イン・ツバメ(新潟県)

■特徴
新潟県燕市は世界有数の金属加工産地で、「メイド・イン・ツバメ」はその中でも原産地と安全性、品質基準を満たした製品だけに与えられる認証です。食品衛生法に基づく試験や素材のトレーサビリティ確認など、国際市場を見据えた厳格な審査を実施。カトラリーやキッチンツールといった身近なアイテムに、産地の誇りと技術の確かさを刻印する役割を果たしています。

■参加するメリット
認証マークをパッケージやカタログに掲出することで、「燕産であること」と「安全で高品質であること」を一目で伝えられます。公式サイトや共同カタログに掲載されるため、国内外のバイヤーから問い合わせを受ける機会も増加。価格競争に陥りがちなカテゴリーであっても、産地ブランドとストーリーを武器に高付加価値ゾーンを狙いやすくなります。

大阪製ブランド(大阪府)

■特徴
「大阪製ブランド」は、大阪産業局が運営する公的な認定制度です。府内中小企業が生み出した製品を対象に、「技術力」「独自性」「デザイン性」「市場性」などを多面的に評価し、知事名で認定を行います。生活雑貨から産業用機器、IoTプロダクトまで対象領域は幅広く、“大阪のものづくり”が持つおもしろさと実力を可視化するブランドとして機能しています。

■参加するメリット
認定企業は大阪府主催の展示会や商談会、プロモーション企画に優先的に参加でき、自治体のネットワークを活用した販路開拓が可能になります。ロゴを営業資料や製品に付けることで、公的お墨付きの安心感を相手に伝えやすくなる点も魅力です。メディアや自治体広報に紹介される機会も増え、BtoB営業だけでなく採用ブランディングにも良い影響をもたらします。

旭川家具(北海道)

■特徴
北海道・旭川地域の家具メーカーが連携して育ててきた地域ブランドが「旭川家具」です。厳しい寒さで育った良質な木材と、長年培われた木工技術をベースに、シンプルで洗練されたデザインの家具を国内外へ発信。国際家具デザインフェア旭川(IFDA)の開催など、産地全体でデザインと技術の両輪を磨き続ける仕組みを持ち、「北のクラフト」を象徴するブランドとして知られています。

■参加するメリット
単独の工房やメーカーでは難しい規模のPR・展示会出展を、産地全体の力を借りて実現できる点が大きな魅力です。共同カタログや公式サイトでの紹介により、インテリアショップや住宅メーカー、ホテル・レストランなどからの引き合いも増加。旭川家具という産地ブランドの傘の下で発信することで、自社だけでは届きにくい顧客層へアプローチしやすくなります。

東京手仕事(東京都)

■特徴
「東京手仕事」は、東京都と中小企業振興公社が推進する伝統工芸ブランドプロジェクトです。江戸から続く技と素材を活かしつつ、現代の生活に合う機能やデザインを持った商品を職人とデザイナーが協働で開発。選定された商品は、首都圏百貨店でのポップアップや展示会、海外イベントなどで紹介され、東京発のクラフトブランドとして国内外へ発信されていきます。

■参加するメリット
単にロゴを付けられるだけでなく、商品開発のブラッシュアップや市場テスト、販路マッチングまで伴走支援を受けられます。東京都のプロモーション力を背景に、訪日観光客向けギフトや越境ECなど、新しい市場へのチャレンジもしやすくなります。首都圏発の信頼できる工芸ブランドとして、メディアからの取材対象になりやすい点も見逃せません。

Swiss Made(スイス)

■特徴
スイス時計産業を象徴する「Swiss Made」は、世界で最も知られた原産地表示のひとつです。ムーブメント製造コストの一定割合以上がスイス国内で発生していること、最終組立と検査をスイスで行うことなど、法律で厳格な条件が定められています。精密工業と職人文化を国家戦略として育んできた背景もあり、「高精度・高品質・高級感」を体現するラベルとして世界中の消費者に認識されています。

■参加するメリット
「Swiss Made」の表示は、ラグジュアリー市場における絶対的な信頼の証です。高価格帯の時計を展開する際のブランド基盤となり、欧米バイヤーとの商談やハイエンドな販路開拓をスムーズにします。国全体で進めるプロモーションとの相乗効果も大きく、国際展示会やコラボレーション企画で注目を集めやすくなる点も追い風になります。

ものづくり・デザイン賞 5選

グッドデザイン賞(日本)

■特徴
グッドデザイン賞は1957年に始まった、日本唯一の総合的なデザイン評価・推奨制度です。プロダクトや建築に限らず、サービス、ビジネスモデル、地域プロジェクトまで幅広い領域を対象に、「くらしや社会をより良くするデザインかどうか」を評価軸としています。Gマークは一般生活者の認知度も高く、「よく分からないけれど、きちんと考えられているもの」という安心感を与えるシンボルとして定着しています。

■受賞するメリット
Gマークをパッケージやウェブサイト、営業資料に掲出できるため、デザインへの投資と品質へのこだわりを一目で伝えられます。公式サイト掲載や受賞展・年鑑など、多数のタッチポイントで紹介されることにより、メディアやバイヤーから発見される確率も上昇。採用活動の場面でも「デザインを大切にする会社」という印象を与えることができ、クリエイティブ人材の応募動機づけにもつながります。

Red Dot Design Award(ドイツ)

■特徴
Red Dot Design Awardは、ドイツで開催される国際的なデザイン賞で、世界三大デザイン賞の一つと称されています。プロダクトデザイン、ブランド&コミュニケーション、コンセプトの3部門に分かれ、革新性や機能性、造形の美しさ、耐久性など多面的な基準で審査。世界中の有名ブランドからスタートアップまでが挑戦し、その中で選ばれること自体が「世界水準のデザイン」であることの証明になっています。

■受賞するメリット
受賞ロゴは視覚的なインパクトが強く、パッケージや広告、展示会ブースに掲出するだけでプレミアム感を演出できます。欧州を中心とした海外バイヤーからの信頼獲得がスムーズになり、高級市場やハイエンドな小売チャネルへのアプローチもしやすくなります。デザインチームや社内のモチベーションを高め、採用ブランディングの観点からも大きな効果を期待できます。

iF DESIGN AWARD(ドイツ)

■特徴
iF DESIGN AWARDは1953年に創設された歴史ある国際デザイン賞で、毎年世界中から膨大な応募が集まります。プロダクト、パッケージ、コミュニケーション、UI/UXなど多くのカテゴリを対象とし、革新性、使いやすさ、差別化ポイントなどを軸に審査。ドイツをはじめとするヨーロッパ市場での信頼性が非常に高く、「iFロゴがある=一定以上のデザイン品質が担保されている」と受け止められています。

■受賞するメリット
受賞した製品やプロジェクトは、iFの国際データベースに登録され、世界中のバイヤーやデザイナーから検索・閲覧されるようになります。ロゴを活用することで、ECや展示会、カタログでの訴求力が向上し、海外からの問い合わせやコラボレーションの機会も増加。特にヨーロッパ圏でのブランド認知・信頼度向上に大きく貢献してくれます。

OMOTENASHI Selection(日本)

■特徴
OMOTENASHI Selectionは、「日本ならではのおもてなしの心」が宿る商品やサービスを選び、世界に伝えることを目的としたアワードです。多数の民間企業が連携して運営する点が特徴で、伝統工芸や食品、生活雑貨、体験型サービスなど幅広い分野から選定を行います。海外審査員の視点も取り入れながら、“世界から見て魅力的な日本らしさ”を掘り起こしている点もユニークです。

■受賞するメリット
受賞ロゴをパッケージや店頭POP、ウェブサイトに掲出することで、訪日観光客や海外ユーザーに「日本のおもてなし品質」であることを伝えやすくなります。空港や百貨店での特設販売コーナー、海外展示会での商品紹介など、販路につながる施策が用意されている点も大きな魅力です。インバウンド市場やギフト需要と相性が良く、SNS映えする商品であればさらに相乗効果が期待できます。

ものづくり日本大賞(内閣総理大臣表彰)

■特徴
ものづくり日本大賞は、日本の製造業や伝統工芸、技術者育成に大きく貢献した個人・チーム・企業などを顕彰する国家レベルの賞です。産業・社会を支える高度な技能や革新的な技術、人材育成や地域活性化に資する取り組みなど、多様な分野から受賞者が選出されます。内閣総理大臣表彰として位置づけられており、その評価は長期にわたって企業や地域の誇りとして語り継がれていきます。

■受賞するメリット
企業やプロジェクトに対する社会的信頼が一気に高まり、自治体・大学・他企業との連携が生まれやすくなります。高度技術の継承や研究開発、人材育成に取り組む姿勢が可視化されることで、採用やIRの場面でも強力なアピール材料となります。受賞ストーリーそのものがブランド資産として長く使えるため、企業ミュージアムやコーポレートサイト、記念誌など、さまざまなコンテンツに展開しやすい点も大きな価値です。

認定×アワードで成功した企業事例 3選

中川政七商店(奈良)― 花ふきんと工芸メディアでブランド確立

■特徴
1716年創業の中川政七商店は、「日本の工芸を元気にする!」というビジョンを掲げ、全国の産地と協業するライフスタイルブランドです。奈良の蚊帳生地を現代の台所に溶け込むアイテムとして再編集した「花ふきん」をはじめ、伝統技術を日常使いできる形に落とし込む商品企画力が際立ちます。さらに、自社メディアを通じて作り手のストーリーを発信するなど、工芸文化全体を巻き込むブランドづくりを進めている点も特徴的です。

■実績
花ふきんはグッドデザイン・ロングライフデザイン賞を受賞し、“時代を超えて愛される定番”として広く認知されました。自社が運営する工芸メディア「さんち〜工芸と探訪〜」もグッドデザイン賞の特別賞[ものづくり]を受賞し、産地と生活者をつなぐ取り組みとして高い評価を獲得。商品とメディアという両輪で認定・受賞を活用することで、百貨店やセレクトショップでの展開拡大、産地との新たなプロジェクト創出へとつなげています。

貝印(関孫六・AUGER)― 国際デザイン賞でプレミアムポジションを獲得

■特徴
岐阜県関市の刃物文化をルーツに持つ貝印は、包丁やカミソリ、ビューティーツールなど幅広い刃物製品を展開するグローバルメーカーです。家庭用包丁ブランド「関孫六」は、伝統的な鍛冶技術と現代的なデザインを融合させたシリーズとして国内外で高いシェアを誇ります。なかでも最上位ライン「関孫六 要」は、素材選定から研ぎ、仕上げまで一切妥協のない設計思想を体現したフラッグシップとして位置づけられています。

■実績
「関孫六 要」やグルーミングブランド「AUGER システムカミソリ」がRed Dot Design Awardを受賞し、機能性とデザイン性を兼ね備えたプロダクトとして国際的に認められました。受賞後は欧州市場での販路開拓が進み、百貨店やデザイン志向のECサイトでの取り扱いが拡大。受賞ロゴを活用した店頭演出やデジタル広告により、高価格帯でも選ばれるプレミアムブランドとしてのポジションを築いています。

燕物産「Stilla」― 産地ブランドとGマークで次の定番へ

■特徴
燕物産は、金属加工の集積地・燕三条でカトラリーやテーブルウェアを手がけるメーカーです。プロフェッショナル向けの業務用から家庭用まで幅広いラインナップを展開し、口当たりの良さと扱いやすさを追求した設計を得意としています。新シリーズ「Stilla」は、70年続いた定番形状を見直し、スタッキング性や握りやすさ、造形の美しさを高い次元で両立させた“次のスタンダード”をめざしたカトラリーとして開発されました。

■実績
「Stilla」はグッドデザイン賞を受賞し、燕カトラリーの進化形として高い評価を獲得。受賞をきっかけに、国内外のホテルやレストランからの採用が進み、プロの現場で使われることでブランドの信頼性も一段と高まりました。「メイド・イン・ツバメ」の産地認証とGマークを組み合わせて発信することで、技術力とデザイン性の両面からストーリーを語れるようになり、展示会やカタログ、ECでの訴求力も向上しています。

まとめ

地方のものづくり企業にとって、ブランド認定制度やデザインアワードは「実力はあるのに伝わっていない」という状況を打開するための強力なツールです。産地や自治体による認定は、地域のストーリーの中で自社を位置づける役割を担い、国際的なデザイン賞は世界共通の評価軸として機能します。重要なのは、ロゴを付けて終わりにしないこと。営業資料やパッケージ、ウェブサイト、採用広報など、あらゆるタッチポイントに認定・受賞のストーリーを一貫して組み込み、「なぜこのブランドを選ぶのか」を相手に伝え続けることが大切です。認定とアワードを戦略的に掛け合わせていくことで、地方発のものづくりブランドでも、国内外で堂々と戦えるポジションを築いていけます。

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■千田 新(ちだ あらた)執筆
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