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ブランディングのヒント〜生産設備の見せ方〜

中小製造会社の会社案内などでは専門用語が飛び交い、業界以外の人にメッセージが伝わらないことが多くあります。今回は製造会社のブランディングについて一例を示します。

生産設備の「見せ方」が問題

「モノづくりからコトづくりへ」とよく言われるようになりました。その背景にはプロダクトアウト(製品主体)からマーケットイン(消費者主体)へと市場が変化していることが挙げられます。では製造においてブランディングは必要ないのかというと、一概にそうとは言えません。

かつて中小製造業の企業サイトや会社案内は、生産設備の名前が羅列しているものが多かったと思います。近年それでは顧客のソリューションには応えられないので、営業やソリューションの項目を前面に出し、生産設備の名前の羅列はやめるべきだという指摘も多いです。
では、生産設備を前面に出すのが、今のマーケティングにおいて無効なのかというと、そうではありません。生産設備の「見せ方」が問題なのです。

業界用語をなるべく使わない

生産設備の「見せ方」について、例えば印刷会社に話を絞ってみましょう。

沿革に

「2017年4月、ハイデルベルグ社製菊全LED-UV8色機『SpeedmasterXL106–8–P 18K』を導入」

と書かれていれば、同業者は「おお、すごいな」と感心されるかもしれませんが、印刷機のことを知らない顧客にとっては何のことかさっぱり分かりません。
そうではなくあえてサイトのトップページに

「ドイツの世界的印刷機メーカー・ハイデルベルグ社より最新鋭印刷機を導入。両面カラー印刷も最新乾燥システムで素早く仕上げ」

と書けば、印刷機のことを知らない顧客も関心を持つかもしれません。ハイデルベルグ社の印刷機はとても洗練されたデザインで知られているので、「機械の画像」を前面に出すのもいいでしょう。

ハイデルベルグ社の印刷機

(出典:https://www.heidelberg.com/jp/ja/products/press/digital_printing/digital_printing_overview.jsp

思い切って設備の価格を公表するのもいいかもしれません。なぜなら一般の顧客の中には印刷機を、数百万円か、せいぜい1000万円程度だと思っている人も多いからです。2〜3億円する印刷機を導入したことを顧客に示せば、企業規模や設備投資、印刷物の価格についても理解が得られるかもしれません。

「CIP3によるインキキーのプリセットを実現」

と書いてもよく分かりません。そんな時は、動画を用いて、機械が自動化していて、オペレーターの微調整だけで簡単に色合わせができる様子を紹介すると良いと思います。パーフォレーター、シーター、グルアーなどの専門用語は、「ミシン目を入れる機械」「シート状に成形する機械」「糊付けする機械」と説明してあげるのも有効です。

現場立ち合いなども積極的に

ただし、専門用語は必要ないとは言えません。なぜなら、同業者や仕入れ先、外注先などのステークホルダーにも、自社を説明する必要があるからです。
モノづくりが自社の強みならば、モノづくりで徹底してブランディングして構わないと思います。生産現場に自信があるならば、工場見学や現場立ち合いなども積極的に行うと良いでしょう。

Categories: Branding Method
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