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CI、VI、BIの違いとは?


デザイナーやマーケターの間では「CI」「VI」「BI」といった言葉が飛び交い、解釈の違いで混乱することがあります。これらをはっきりと区別しないままだと、クライアントとのやり取りでも齟齬が生じてしまうことでしょう。今回は「CI」「VI」「BI」の意味を解説します。

CI(コーポレート・アイデンティティ)とは


CIはコーポレート・アイデンティティの略で、「企業の特性を、統一されたビジュアルやメッセージで内外に発信し、共有してもらうことで、企業的価値を高めること」を指します。
CIはビジュアル・アイデンティティ(VI)、マインド・アイデンティティ(MI)、ビヘイビア・アイデンティティ(BI)によって構成されています。よくCIというと企業ロゴや社名変更などを指すと思われがちですが、企業理念や企業行動の統一も含まれます。

1980年代には潤沢な広告予算を持つ大企業を中心に「CIブーム」が到来します。しかしその多くは会社のロゴの変更や社名変更などに留まり、本来の企業的価値向上の目的とほど遠いものとなっていました。バブル崩壊とともに「CIブーム」は終息します。

VI(ビジュアル・アイデンティティ)とは


ビジュアル・アイデンティティ(VI)とは前述の通りCIの構成要素の一つで、企業の視覚的な展開を統一させる活動のことです。
会社案内のパンフレットや名刺、封筒、Webサイトにいたるまで、ビジュアルに一体感を持たせることで、顧客や社員に企業の一貫性のある価値観を訴求し、共感やモチベーション向上をもたらします。

BI(ブランド・アイデンティティ)とは


BIとはブランド・アイデンティティの略で、一般財団法人ブランド・マネージャー認定協会では次のように定義しています。

自社を、あるいは自社が提供する製品やサービスを「顧客にどう思われたいか」を明確にすること

(出典:同文館出版 「社員をホンキにさせるブランド構築法」)

2008年に一般財団法人ブランド・マネージャー認定協会を設立した岩本俊幸代表理事は「CIブーム」や協会設立当時のことを次のように振り返っています。

1980年代にとくに大手企業で流行っていた「コーポレート・アイデンティティ」という手法があり、大手広告代理店は、数億円以上の予算を獲得して提供していたようです。その後、バブルがはじけて、CIというキーワードはめっきり聞かなくなり、替わりに台頭してきたのが「ブランディング」という手法です。
大手広告代理店にとっては、この「ブランディング」という手法は、クライアントの予算を獲得するためには、都合が良く、消費者からのブランド認知を多く得るための媒体を、たくさん出稿してもらう口実にもなりました。 このようなこともあり、「ブランド戦略」「ブランディング」という手法、キーワードは、広告代理店が広告予算を獲得するための常套句という捉え方をしていた中小企業の経営者層が少なくなかったように思います。

(出典:https://www.brand-mgr.org/スペシャルインタビュー/2018年新春特別編.html

こうした誤解がありながらも、ブランディングの概念は着実に根付いていきます。

グラフィックデザインに限らない広義のアイデンティティを大事にする

CI(コーポレート・アイデンティティ)やBI(ブランド・アイデンティティ)という言葉を使うことにおいて、気を付けなければならないことがあります。単にブランドを取り巻くグラフィックデザインを「CI」と呼ぶことがあるということです。

例えば、デザイナーがクライアントから「CIを変更したい」と頼まれたとき、単にブランドのロゴを変えることと、ブランドを顧客にどう思われたいのかを再定義することを混同しては大変です。
また重要なことは、ブランドのロゴのデザイン変更を頼まれたとき、クライアントのもっと深い悩みをかぎ取ることです。クライアントは「もっと顧客に認知してもらい、共感してもらい、売れるブランドにしたい」と悩んでいるかもしれません。そんな時は、ロゴのデザインに留まらず、ブランドとしての在り方についても提案することが大切でしょう。

Categories: Branding Method
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