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ギャルの厚底シューズは、働く女性へ

マラソン、駅伝など長距離走の世界で最近、厚底のシューズが注目されている。ナイキ社の厚底シューズを履いた選手が好記録を連発したためだ。そしてこの厚底シューズが意外な場所でも話題になっている。通勤用のシューズとして浸透し始めたのだ。

厚底シューズの火付け役となったのが、ナイキの「ズーム ヴェイパーフライ4%」シリーズだ。今年の箱根駅伝で区間賞を獲得した10人のうち7人が履いていた。マラソンで日本新記録を出した大迫傑選手も愛用している。靴底のカーボン素材が蹴り出すときにしなり、バネのような感覚で足を動かす。これまでは薄底シューズが常識だった長距離走の世界で、より速く走るために開発した厚底シューズは大ブームとなっている。

(中略)

マラソンブームとはいえ、シューズの市場としての規模は限られる。一方で通勤シューズという新しい市場は開拓余地が大きい。最近は職場に革靴やハイヒールを置いておき、通勤はスニーカーと、使い分ける人も増えている。大地震で徒歩での帰宅を余儀なくされたときなども、厚底スニーカーだと歩きやすい。「厚底だと身長が高く見えるので、女性にも人気」(マッシュホールディングス社長室広報課)といった指摘もある。意外な場面で火が付いた厚底シューズ、まだまだ市場が広がる余地がありそうだ。

日本経済新聞 2019/3/23
「ジョギングも通勤もシューズは厚底で」

ひと昔前、厚底シューズはギャルの必須アイテムだったが、今や働く女性の間でブームになっているという。

箱根駅伝は1月の2日、3日に行われる大会ということもありお正月の名物となっている。テレビ中継が盛んに行われる中、戦いに挑む選手の姿は消費者を釘付けにする。数多ある製品の中からどうやって消費者を惹きつけるか。
ナイキの戦略のポイントは、消費者が有名選手と同じシューズを履く自分自身の姿をその選手たちと重ね合わせることだ。長距離マラソンの景色は、通勤距離や大地震の際の徒歩での帰宅を思い起こさせることもあるだろう。これらの要素が繋がりあってブームに火がついたのではないだろうか。

背景には、社員の健康増進などを目的に、スニーカー通勤を推奨する企業が増えてきたこともある。たとえば三菱UFJ銀行、日本生命、住友生命などの大手だ。歩いた距離に応じて社会貢献基金に寄付をする仕組みを導入した企業もあるそうだ。こうした社会的環境要因もブランド価値に多いに影響するのであろう。

 

はやま 紺(はやま こん)執筆
一般財団法人ブランド・マネージャー認定協会 1級資格取得者 
紺デザイン室 ブランド・クリエイター
女性目線の商材ブランディング
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http://kon-design.com/

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