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「737MAX」の失墜で、ボーイングは何を失ったのか?

米航空機大手ボーイングが24日発表した2019年4~6月期決算は、最終損益が29億4200万ドル(約3100億円)の赤字だった。新型機「737MAX」の墜落事故による出荷停止などで売上高が35%減少した。フライトの欠便に対する航空会社への補償費用も響いた。

前年同期は21億9600万ドルの黒字だった。四半期ベースの最終赤字は16年4~6月期以来。

737MAXは事故前までボーイングの商用機の受注の7割を占め、売上高の3割、営業利益の5割近くを稼ぐ主力機だった。同機の出荷停止に伴い、4~6月の引き渡しは90機と前年同期(194機)の半分以下に落ち込んだ。

日本経済新聞 2019/7/24
米ボーイング3100億円赤字 4~6月、主力機停止響く

どんなに長い年月をかけて築き上げてきた信頼も、それを失うのに要する時間はわずか一瞬だ。

ボーイング社の主力商品である「ボーイング737MAX」は、ボーイング社の受注の7割、売上高の3割を占めていた押しも押されぬ“売れ筋商品”だったが、相次ぐ事故によって生産中止に。一商品への不信が今や「ボーイング」ブランド全体に大きな影を落としている。

航空機メーカーのブランド価値を形成する最大の要素は何にも増して「安全性」であることは明白であり、この赤字転落のニュースは失われた信頼をあたかも具体的な数字で可視化しているようでもある。

なお、この一件で漁夫の利を得たのがライバルであるエアバス社。2023年ローンチの新型旅客機「A321XLR」に、世界中の航空会社から注文が殺到しているというからボーイング社からすればまさに泣きっ面に蜂となってしまった。

 

BRANDINGLAB編集部 執筆
株式会社イズアソシエイツ

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