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DMマーケティングの鍵になる「オファー」のパーソナライズ

紙メディアの中でも健闘しているダイレクトメール(DM)。マーケターからも評価の高いDMの効果について考えてみましょう。

紙メディアの中でも健闘しているDM


広告における紙メディアの退潮が続いています。日本の広告費における構成比を2015年と2017年で比較すると、新聞は9.2%から8.1%に、雑誌は4.0%から3.2%に、折込は7.6%から6.5%にそれぞれ大幅に減っています(電通「日本の広告費」)。
その中でDMは比較的堅調です。構成比は6.2%から5.8%と0.4ポイントの下落に留まっています。

しかもこの数字には一種のからくりがあります。「日本の広告費」のDMの広告費には配送料しか含まれていません。近年はよりターゲットを絞ってDMを送るのがトレンドとなっているので、当然部数は減り、配送料も減ります。見かけ上ではDM市場は減少しているように見えます。
しかしDMはターゲットを絞った結果、ギフト化、高級化してきています。一部あたりのDM製作費・印刷費は上昇しているものとみられ、むしろDMの市場は伸びていると指摘する識者もいます。

最適なタイミングで、最適なターゲットに響く


インターネット広告の大幅な伸長にもかかわらず堅調なDM。その理由を考えてみましょう。
ボブ・ストーン/ロン・ジェイコブスによるダイレクトマーケティングの教科書『ザ・マーケティング』によると、ダイレクトマーケティングの要素には「名簿」(ターゲット)、「タイミング」、「クリエイティブ」(デザインやコピーなど)、「オファー」(提案)、の4要素があります。

この4要素が、デジタル印刷とデータドリブン(膨大なデータを収集・分析・活用すること)によって、DMにおいても最適化してきています。
まず「ターゲット」ですが、昔は名簿業者から名簿を買い、ほぼ当てずっぽうにDMを送っていたのが、現在は見込客の情報を、自社サイトのアクセスログやSNS情報、店舗の購買履歴や名刺交換など、様々な手段で収集し、一元管理し、分析し、活用できるようになりました。

このようないわゆるデータドリブン・マーケティングによって、より精緻な顧客分析が行え、最適なターゲットにDMを送ることができるようになっています。
2つ目の「タイミング」ですが、やはりデータドリブンによって顧客のリアルタイムな行動が追跡できるようになりました。女性の結婚、妊娠、出産、育児までのライフサイクルを追跡しつづけ、その都度都度にあった商品のDMを送るのも一つのトレンドです。

最近ではネット通販でカート落ちした(ネット通販で商品を買い物カゴまで入れたが、発注までには至らなかった)顧客に対して、中一日でフォローアップのDMを送ることもできるようになりました。Eメールよりもより高い効果が得られたといいます。

重要なのは「オファー」のパーソナライズ

「ターゲット」と「タイミング」がより最適化したことは、識者の中でも述べられています。「クリエイティブ」に関しては、昔から制作会社や印刷会社が競い合って、デザイン力や企画力を磨いてきました。

ここで忘れてはいけないことは「オファー」の最適化です。デジタル印刷によって、住所・宛名だけでなく、コンテンツもフルカラーによるバリアブル(差し替え)が可能になりました。例えば40代のこの男性にはこのスーツをこの割引率で、20代のこの男性にはこのスーツをこの割引率で、オファーすることができます。

デジタル印刷を宛名差し替えだけにするのはもったいない。オファーをその顧客に相応しい内容に差し替えることで、DMのROI(投資対効果)も飛躍的に高まります。
「ターゲット」「タイミング」「クリエイティブ」「オファー」のどの要素が最も重要なのかという議論がなされますが、全部重要なのです。すべての要素がうまくかみ合ったときに、DMメディアは最大限の効果を発揮すると思われます。

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