
「もっと広告を出せば売れるはずだ」——この考えがうまくいかないとき、たいてい原因はどの段階でつまずいているかを見ていないことにあります。
購買に至る道のりを段階に分けて捉えるのが、AIDMAとAISASです。
AIDMA:古典的な購買プロセス
Attention(注意)→ Interest(関心)→ Desire(欲求)→ Memory(記憶)→ Action(行動)
まず気づき、興味を持ち、ほしいと思い、覚えていて、買う。マスメディアが情報の中心だった時代に整理された流れです。
ここで重要なのはMemory(記憶)です。その場で買えないため、思い出してもらう必要がありました。広告を繰り返す理由は、この記憶を維持するためでした。
AISAS:検索と共有が入った流れ
Attention(注意)→ Interest(関心)→ Search(検索)→ Action(行動)→ Share(共有)
インターネット以降を捉えたモデルです。決定的な違いは2つあります。
Search(検索)が入った
興味を持った人は、まず調べます。ここで企業側の発信より、第三者の評価のほうが強く効きます。
Share(共有)で終わらない
買った後の発信が、次の人のSearchの材料になります。購買はゴールではなく、次の入口になりました。
BtoBと採用への応用
BtoBでは検討期間が長く、社内での説明が挟まります。Searchの先に「上司に見せられる情報」があるかが鍵になります。
採用も同じ構造です。求人を見た学生は必ず社名を検索します。
決定的に変わったのは「検索」が入ったこと
2つのモデルの違いは順番だけではありません。企業がコントロールできない段階が、購買プロセスの真ん中に入ったことが本質です。
興味を持った人は、まず調べます。そこで出てくるのは企業の発信だけでなく、第三者の評価です。口コミ、比較サイト、SNSの投稿。
広告で興味を持たせても、検索結果が弱ければそこで終わります。むしろ広告費をかけるほど、弱い検索結果に人を送り込むことになります。
どこで詰まっているかを見る

この枠組みの価値は、問題の切り分けができることにあります。
「売れない」という一言を、認知・検索・比較・共有の4つに分解する。詰まりの位置によって、打つ手はまったく違います。
露出を増やすのは、認知が原因のときだけ有効です。検索した先が薄ければ、露出を増やすほど離脱を増やすだけになります。
BtoBでは「上司に見せられるか」が鍵
BtoBでは検討期間が長く、社内での説明が必ず挟まります。
担当者が調べて「良さそうだ」と思っても、それを上司や役員に説明できなければ話は進みません。つまりSearchの先に必要なのは、担当者を納得させる情報ではなく「担当者が社内で使える材料」です。
導入事例、比較表、費用対効果の考え方。持ち帰って会議で配れる形になっているか——ここまで設計できている企業は多くありません。
採用も、まったく同じ構造です
求人を見た学生は、必ず社名を検索します。
そこに何もなければ、求人広告の費用は途中で消えます。「聞いたことがない会社」から「調べても何も出てこない会社」に変わるだけだからです。
そして学生も、親に説明します。BtoBの担当者が上司に説明するのと、まったく同じ構造です。Searchの先に何を置くかが、両方の成否を分けます。

段階ごとに、見るべき数字が違う
どこで詰まっているかを感覚で判断すると、たいてい外れます。段階ごとに見る数字を決めておくと、議論が早くなります。
認知——社名やブランド名での検索数(指名検索)。広告を増やしても指名検索が伸びないなら、認知はついていません。
検索——サイトに来た人の滞在時間と直帰率。来てすぐ帰っているなら、中身が期待に届いていません。
比較——訪問数に対する問い合わせ・応募の比率。人は来ているのに動かないなら、選ばれる理由が伝わっていない段階です。
共有——口コミ、紹介、SNSでの言及の件数。ここが動くと、次の人の検索結果が変わります。
この4つを並べて見ると、「広告を増やす」で解決する場面はごく一部だと分かります。多くの会社が詰まっているのは検索と比較の段階で、そこは広告費ではなくコンテンツと言葉の問題です。
まとめ
AIDMAとAISASは、「売れない」を分解して原因を特定するための地図です。
どの段階で人が落ちているのかを見る。その一手間が、施策の空振りを防ぎます。
真のブランディングは、正しいブランド理解から
“なんとなく”を、言語化する資料集。
ブランディングの基本と進め方を、実務で使える形にまとめました。
読むだけで、終わらせない。



