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AGC株式会社

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1907年創立のグローバル100年企業が社名を一新。コーポレートブランド再構築の狙いは、拡大した事業領域によってバラバラになった企業イメージの統一と、企業風土を変えていくための取り組みという二つの側面を持っていました。 「なんだし、なんだし、AGC」「素材の会社AGC」。耳に残る社名を全面に押し出したTVCMや交通広告で高い認知度を獲得したAGCのブランド戦略の意図を探ります。
≪注意書き≫本記事は各ライターによる情報収集によって作成されているため、主観や意見、事実と異なる文言が含まれている可能性をあることをご了承ください。
背景
2018年、社名を旭硝子株式会社からAGCに変更したAGC株式会社。すると一気に認知度は減少してしまいました。 また、AGCの経営陣には以前から組織風土を変えたい、「大企業病から脱却したい」という意図がありました。1950年台からグローバル展開を重ね、合弁会社やM&A、子会社化と210もの連結子会社が連なる成長を遂げたことによる組織の巨大化により、部門間の壁が社内で指摘されていたのです。
戦略意図
社外に向け展開したTVCMの狙いは「大学生およびビジネスパーソンをターゲットに、AGCという社名を覚えてもらうとともに、素材の会社であることの認知」でした。 マス広告によって、一般の人に幅広くAGCの社名を拡散し、そして実は人々の生活に密着した素材を作っている身近な会社であることを認知させることで、ビジネスでもリクルートにおいても最初の選択肢として浮かぶ、つまりブランド想起につなげたいという意図がありました。
表現意図
有名俳優の起用、さらに耳に残るフレーズで人が一度見たら忘れられないユーモラスかつ、記憶に残るクリエイティブを展開。素材メーカーとしては異例のCM高感度を得ました。とにかく「AGCを知ってもらいたい」という強い思いに集中し、情報量を削ぎ落として、よりシンプルに伝える。つい情報を詰め込みたくなる発信側のエゴに囚われることなく、視聴者側に立った視点を貫ぬきました。
まとめ
そもそも素材メーカーであるAGCはBtoB企業であり、いくら一般消費者の認知度が高まったところで、売上にすぐに結びつくとは考えにくい点があります。AGCはあくまでも短期的な効果を求めるのではなく、ブランドの長期的定着のための未来への投資として発信を行いました。実際にCMの放送が始まるとお取引先や自分の子供から「お父さんの会社のCMだ!」と言われて嬉しかった、など社員のモチベーションアップ、また、リクルート面においても効果が現れました。 さらに社名の変更に伴いロゴデザインのリニューアル、そしてAGCグループ全体でブランドステートメントの制定、さらに従業員参加型イベントを取り入れ、ビジョンやブランドの社内浸透に努めています。そして現在、AGCのブランド構築ストーリーは、社名の認知のフェーズから理念や商品のクオリティを訴求するフェーズへと移っています。