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株式会社 出前館

  • タグライン(スローガン)

LINEから得た資金で浜田雅功がスーダラ節をなぞって高らかに歌うTVCMを大量投入し、瞬く間に知名度を獲得した「出前館」。コロナ禍で俄に注目が高まったフードデリバリー市場における新進気鋭のベンチャーと思いきや、創業は1999年と20年以上の歴史がある企業なのです。 創業20年の節目、2019年のリブランディングの際に制定されたブランドステートメント「しあわせは すぐ届く」に込められたブランドの狙いとは。
≪注意書き≫本記事は各ライターによる情報収集によって作成されているため、主観や意見、事実と異なる文言が含まれている可能性をあることをご了承ください。
背景
これまで20年間、出前館は紆余曲折の道を辿ってきました。世界初の出前の仲介サイトを立ち上げた創業者は3年後に会長へ退き、外部から招かれた中村利江社長によって黒字化、上場を果たします。ところが上場の目的を果たした中村社長が退任したのちに業績が悪化。再度代表取締役社長へ就任した中村社長はNTTドコモ、Amazon.co.jp、LINE、朝日新聞社等、様々なアライアンスを実現させ、さらに複数の企業のM&Aを行い、出前館を時価総額2000億円を超える企業に育てました。 しかし20年の歴史がありながら「出前館」ブランドの認知が低く、その利便性や価値が一部の人にしか理解されていないことが、出前館としての長期的な課題でした。
戦略意図
出前館の事業の核は、自前で宅配ができない飲食店の宅配代行サービスです。 コロナ禍の状況に加えて、シェアの奪い合いとなっている強力なライバル、Uber eatsの猛追、その他外資系サービスが乱立するフードデリバリー市場において「出前館」の違いは何か、強みは何かを認知度の向上と共に訴える必要がありました。 では、出前館の強みは何か。それは20年の歴史に裏打ちされた「高い配達品質」によって得た信頼と、その信頼によって創り出した地域の飲食店と顧客とのつながり、「地域のライフインフラ」です。
表現意図
日本人は味覚だけではなく視覚や触覚、嗅覚のすべてで「美味しさ」を感じる細やかな心があります。 つまり配達員の身だしなみ、言葉遣い、届くまでの時間や届いた料理の温かさ。出前館の強みである「高い配達品質」には豊かな時間を生み、人を繋ぐことのできる力があるのです。 そこで出前館の新しいビジョンとして「料理」ではなく「しあわせ」が届く=「しあわせは すぐ届く」のタグラインが生まれました。 企業名に「出前」と入っていることで、タグラインに料理に関連づいた単語は入れずとも、自社の業態は理解してもらえます。 高い配達品質によって創り出せる「しあわせ」が「すぐ」届く。つまりは地域密着型のサービスでもあることを併せ、ストレートに分かりやすく伝えているのです。
まとめ
新しい生活様式が定着する中で、大きな伸びを見せているフードデリバリー市場。さまざまな企業がその可能性を見出し参入が相次ぐ激戦区です。出前館のビジネスには、地域の配達機能を持たない飲食店への加盟店の拡大と、ユーザーのリピート率向上という2つの要素を組み合わせることが必須条件です。 多数の選択肢の中で飲食店が、顧客が「なぜ出前館に依頼しなければならないのか」、「なぜ出前館を選ぶのか」。この「なぜ」をいかに創り上げていくかが重要なポイントと言えます。 出前館で食事を頼むことによって顧客が、そして飲食店が「しあわせ」を感じることのできる仕組みづくり。認知、理解、そして実感を生み、定着させていくサイクルを回すための仕組みとイメージづくりの両輪が、出前館を大きく成長させています。