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株式会社オープンハウス

  • ブランド名

長瀬智也や柄本明が演じる小学生、そして座敷童子に扮した松田翔太。コミカルで一度見ると忘れられないCMの意図には、地道な営業活動によって着実に業績を伸ばしている不動産企業の強かな戦略がありました。
≪注意書き≫本記事は各ライターによる情報収集によって作成されているため、主観や意見、事実と異なる文言が含まれている可能性をあることをご了承ください。
背景
オープンハウスは大手不動産企業が都心の小さい土地は手間がかかる、という理由で手をつけないところに自分達のポジションを取りました。都心で好立地。富裕層しか手に入れられなかった戸建てを中間層に提供できるようにした仕組みは、自社で「用地の仕入れ」「家を建てる」「売る」をすべて一気通貫の自社で完結し、間に発生するマージンを省くことでした。ニトリやユニクロのような製販一体型(一部を除く)、不動産業界ではあり得なかったビジネスモデルにイノベーションを起こしたことで、一気に業界大手へと躍進したのです。
戦略意図
社名は開いたドア(OPEN)、階段のある間取り(戸建・HOUSE)が「住みたい街に住む=東京に家を持つ」というタグラインを表現したもの。さらにロゴは画期的な美術理論を提唱したピエト・モンドリアンの作品がヒントです。革新的な総合不動産会社を目指す姿勢がロゴと社名に込められています。オープンハウスが一気通貫のモデルを提供するために最も重要なのは、好立地の土地を安く仕入れることです。その土地に密着した不動産会社と信頼関係を築き、新鮮な情報を手に入れるために、「待つ」のではなく、営業マンが地道に何度も訪問する「攻め」の姿勢をとっています。地道な営業活動を、より効果のあるものにするためには「あのTVCMの会社」という認知と信頼感を得ること。そして「オープンハウス」という社名を覚えてもらい、社名でダイレクトにWEB検索してもらいたいという意図がありました。
表現意図
大きな体にランドセルの長瀬智也、保健室の先生の田中みな実。ビジュアルのコミカルさだけではなく、柄本明の「オペンホウセ」というセリフで社名を印象づける、「時代が変わっても価値の変わらないもの=駅チカの土地」というセリフとともにロゴの入った看板を映し、機能性の訴求を狙うといった仕掛けを短いCMの間に効果的にちりばめました。最近では松田翔太が座敷童子に扮し、戸建てが欲しいと訴える妻と自分達には無理だと言う夫の間で「夢じゃない?」というコピーやブランドロゴを展開し、徹底して「中間層でも手が届く好立地の戸建ての実現」をアピールしています。
まとめ
オープンハウスはCMのターゲットを、いま住宅購入を考えている層をターゲットにしていません。住宅購入を「いま」考えている人よりも圧倒的多数の考えていない層に向けて、オープンハウスの魅力を伝えることを目的としています。家を買いたいと思った時、オープンハウスを検討の選択肢に入れること。人々にとってオープンハウスは家を買おうと思った時には見ておかねばならない、という存在になることがオープンハウスのブランディング戦略です。 ただ話題性のあるCMというだけではなく、CMの世界観やセリフのひとつひとつ、画面に映るの要素ひとつにまで、自社の強みである「攻め」の営業力を最大限に高めるための戦略が詰まっています。